突然やってくる災害時の借金の支払いはどうする?
災害時の支払いはどうする?
最近、災害が増えているような気がします。
地震だけでも、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と、私たちの人生観までも変えてしまう程のものでした。
まだ記憶に新しい堤防が決壊したことによって発生した鬼怒川水害や、最近の台風10号の豪雨被害による岩手県岩泉町の例も大きな災害になりました。
このように災害はいつどこで起きるか想定出来ません。
自分が被災者になる可能性も低くないのです。
災害に遭った時は、住まいや仕事場などに大きな損害を受けたりして、普段のような生活が出来なくなってしまいます。命は助かったとしても、自然災害のために財産を失ったり、収入の道を断たれたりする可能性もあります。
そんな非常時のとき、借金の支払いはどうなるのでしょう。
東日本大震災のときの公の対応
各金融機関に被災者の便宜を考慮する要請
東日本大震災のときを例にすると、政府と日銀は災害状況や返済猶予など、各金融機関に被災者の便宜を考慮するよう要請したと聞いています。
また、各金融機関や貸金業者は相談窓口を設けて、カードの紛失や返済に関することなど消費者からの問い合わせや相談を受けたということです。
被災した場合は、ある程度の便宜を考慮してもらえる可能性が高いと思います。
但し、これは登録済の貸金業者の場合であり、闇金等はどのように対応するかわかりません。災害時のことを考えても、闇金から借金をすべきではありません。
無理せず被災状況に応じて相談するのがベスト
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの策定
東日本大震災の後、政府では、被災者が一定の要件に該当する場合に、少しでも生活や事業を再建しやすいように、「破産」等によらない債務整理の方法として「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を策定しました。
大規模な自然災害でローンの返済が困難になったとき宅ローン等を借りている被災者が、破産手続きなどの法的な倒産手続によらず、銀行などの金融機関との話し合いにより、ローンの減額や免除を受けることができます。
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」による手続きは、いくつかメリットがありますが、例えば、個人信用情報に登録されないため、その後の借入れに影響しないように出来るようです。
金融機関に対して、自然災害債務整理ガイドラインに基づく手続に着手する、ということを申し出ると、手続きを始められるようです。
被災されたときは、利用の検討をすべきことと思います。
なお、以下に政府広報等のリンク先を掲載しておきます。
全銀協
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」
国税庁
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づき作成された調停条項に従い債権放棄が行われた場合の課税関係について(照会)
もしも自分も被災者になってしまったら
災害は発生しないと被害の大きさがわかりませんから、事前の対応を想定することは、なかなか難しいと思いますが、今後の災害時も、同様の対応がされると思われるので、被災者になって普段通りの生活が困難になり、支払いに困るようになったら、最初に出来ることとして「相談する」ということはベストの選択だと思います。
直接取引のある貸金業者、または日本クレジット協会や、日本貸金業協会などの業界団体でも、相談窓口を開設するようです。
また、被災状況に応じて「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の利用も検討すべきです。(例えば、熊本地震は対象になるようです。)
借金をしてしまうと、なんとかひとりで解決しようとしてしまいがちですが、出来れば、多くの人に相談する方がいいのです。
もちろん、こんなときでも弁護士さんに相談するのは、よい手段です。
ひとりで悩まず相談しよう!