過払い金の請求の時効とは
過払い金の返還期限
過払い金の請求を代行してくれる弁護士・司法書士のCMなどで「過払い金の返還期限が迫っている」という言葉を耳にします。
過払い金については、「豆知識 過払い金とは」を参照
過払金の返還には10年という期限があるのです。
しかし、10年と言われても、いつから10年なのかは、はっきりしません。
過払い金の請求が出来る権利がある人が、正しく判断して手続きを行えるよう、過払い金の請求の時効についてまとめてみました。
過払い金の時効とは
過払い金の請求の時効
過払い金の請求の時効は「民法」に定められているもので、過払い金を請求する権利は、「支払いが完了したとき(完済)から10年」です。
支払いが完了していなければ、たとえ30年前から始まった取引でも、すべて請求出来ます。「すべて」とは、30年前から10年前まで過払い金があるならば、20年分の過払い金が請求出来るということです。
「支払いが完了したときから」が、時効10年のスタート
時効の成立の条件
時効の成立の条件は、ひとことで「時効10年」といえば、とてもわかりやすい気がしますが、実際に取引を当てはめてみると、簡単には判断出来ない場合もあります。
一番のポイントは「支払いが完了したとき」が、いつの時点(年月日)になるのかです。
いつの時点かで、時効の成立の年月日が変わってしまいますから、当然ですね。
ネット上にも過払い金の請求の時効に関する記事がたくさんありますが、間違った解釈をしているページも見受けられます。
もっとまずい間違いは、「支払いが完了したとき」ではなく、過払い金を実質的に認める最高裁判所の判断があった2006年から10年(すなわち2016年)で時効が成立してしまう、というものです。
これに従うと、来年(2017年)には、「2017年以降は、適正な金利になって10年経つので、過払い金を請求できる人はいない」ということになってしまいますが、それは大きな間違いです。
過払い金が請求できなくなる期限は、あくまでも「支払いが完了したときから10年」ですから、ひとりひとりの時効の期限は違うのです。
「過払い金の発生しない適正な金利になってから10年が経つと過払い金は請求できない」という情報は誤りです。間違った情報に惑わされて、時効が成立してしまったと思い込んで、諦めてしまわないようにしましょう。
また、早く手続きを済ませないと、時効になってしまうと請求出来なくなる、というような煽りをする業者もいるようです。もちろん、時効ギリギリのケースもあるので、一概には言えませんが、時効を理由に依頼者よりも自らの利益を優先する弁護士・司法書士事務所には注意しましょう。
時効の期限は、ひとりひとり違う
「支払いが完了したとき」の判断
消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、「借りては返す」の繰り返しになる場合も少なくありません。
「借りては返す」の繰り返しの中で、全額返済してしまった場合、「支払いが完了した」と判断されてしまうと、全額返済した日以前の過払い金が、時効を迎えてしまう場合があります。但し、全額返済した後の借入れで、新たに基本契約を締結することもなく、同じローンカードで借りた場合、支払いが完了しているのではなく、一連の取引として認められることで、時効とはしない場合もあるようです。
このように、「支払いが完了したとき」の判断は、簡単ではありません。
弁護士は、必要に応じて過去の判例など照らし合わせながら、依頼者の利益を確保してくれますので、時効だと思われるケースでも、相談すると過払い金が請求できるケースもあるようです。
明らかに時効が成立して、と思われるケースでも、少しでも気になる方は、無料相談の弁護士さんに相談をおすすめします。
時効だと思われるケースでも、気になる方は弁護士に相談!
知っておきたい時効にまつわる裏話
弁護士・司法書士と貸金業の裏協定の噂
朝日新聞(平成25年3月24日)によると、「過払い返還減額 裏協定」「消費者金融と法律事務所」「債務者,知らぬ間に損」と題して、一部の弁護士・司法書士事務所が、自らの利益のため、貸金業者と裏協定を結んでいる例がある、と報じました。
「本来の返還額の9~5割カットで和解」などの裏協定を結び、大量の請求依頼を短期間に処理して利益を多く上げていた、というものです。
事実であれば、依頼者の利益よりも事務所の利益を追求している弁護士・司法書士事務所が存在している、ということになり、そこに依頼してしまうと、本来受け取れるはずの過払い金が大幅にカットされてしまっていることになります。
借金まみれで弱っている依頼者の弱みに付け込んだ悪徳な話ですが、新聞報道されたので、実際に存在しているのかもしれません。
裏協定を見破るポイント
裏協定をしている弁護士・司法書士は、依頼者に裏協定の話をすることは出来ないので、もっともらしい理由をつけて、依頼者に減額の和解案を出してくるようです。
また裏協定していなくても、貸金業者の嫌がらせを恐れて、貸金業者の提案を飲んでしまい、減額の和解案を出してくる例もあるようです。
裏協定の有無も含めて、過払い金の請求の進捗状況を把握するのは、なかなか難しいのですが、依頼者側のスタンスとして、以下のポイントに注意しましょう。
・利息充当方式を採用せず、過払い金利息を付けない前提で説明される。
→ 利息充当方式は最高裁の判例で適用されたものなので、採用しない理由はない。
・全額回収を前提にせず破たんリスクなどの理由で減額による早期和解をすすめる。
→ あくまでも全額回収が前提。減額の場合は、理由を訊く。
依頼者側の気持ちとしては、借金が消滅するのなら、すべてをまかせる、というような気持ちになりがちですが、そこを付け込んだ業者側の対応には、注意が必要です。
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法律はあなたの味方です
いろんな法律がありますが、過払い金の請求の権利を認めた法律は、借金に苦しむ人たちにとって、強力な味方となる最高裁が認めた法律です。
こんな世の中ですから、損得で動く人たちも少なくありませんが、法律と法律を遵守して利用者の利益を最大限にまもる弁護士の方たちも、存在します。
もしも、借金に苦しんでいるのなら、勇気を出して弁護士事務所に相談することで、人生を大転換させましょう。
人生は、あなたが主役であることを忘れない。